0〜2歳児クラスの保育料は、4月ではなく9月に変わることがあります。保育料のもとになる住民税の年度が、9月で切り替わるためです。この記事では、その仕組みと、年度途中の入園・引っ越し・税の修正があったときの扱いを、国の法令と市の公式資料にもとづいてまとめます。
3〜5歳児クラスの保育料(利用料)は、幼児教育・保育の無償化で無料です(こども家庭庁)。この記事の話は、主に0〜2歳児クラスにあてはまります(無償化の範囲は保育の無償化で無料になるもの・ならないものを参照)。
4〜8月は前年度、9〜3月は当年度の住民税
0〜2歳児の保育料は、世帯の市町村民税の所得割額で決まります。国の定め(子ども・子育て支援法施行令第4条)は、保育を利用した月の属する年度の市町村民税を使い、利用した月が4月から8月までの場合は前年度の分を使う、としています。
こども家庭庁が掲載している資料にも、利用者負担は市町村民税額をもとに毎年決まり、切り替え時期は毎年9月で、8月以前は前年度分、9月以降は当年度分で決まる、と書かれています(こども家庭庁の資料)。
2026年度で見ると、次のようになります。
| 保育料の月 | 使う住民税 | もとになる所得 |
|---|---|---|
| 2026年4月〜8月 | 令和7年度(2025年度)の市町村民税 | 2024年1〜12月の所得 |
| 2026年9月〜2027年3月 | 令和8年度(2026年度)の市町村民税 | 2025年1〜12月の所得 |
この対応は、横浜市・神戸市の案内に書かれているものと同じです。静岡市の案内も、令和8年9月〜令和9年8月分は令和8年度の市民税額で決めるとしています。住民税の所得割は前年の所得をもとに計算されるため(地方税法第313条)、年度と所得の年が1年ずれます。
なぜ9月なのか
国の法令は、9月を区切りにする理由を条文には書いていません。ただ、住民税の決まり方を並べると、4月の時点ではその年度の住民税額がまだ通知されていないことがわかります。
- 給与から住民税が引かれる人: 市町村長は、その年度の特別徴収税額を5月31日までに勤務先を通じて通知します(地方税法第321条の4)。給与から差し引かれるのは6月から翌年5月までです(同第321条の5)
- 自分で納める人: 納期は原則として6月、8月、10月、1月です(同第320条)
つまり、その年度の住民税額が本人に届くのは5〜6月ごろです。保育料はそれまでの間(と、その後しばらく)前年度の税額で決め、9月分から新しい年度の税額に切り替える、という仕組みになっています。
9月に保育料が上がる・下がるのはどんなとき
9月からは、1年新しい所得で判定し直します。前の年の所得が、その前の年から増えたり減ったりしていると、9月から区分が変わることがあります。
一方、住宅ローン控除やふるさと納税を始めたりやめたりしても、それだけでは区分は変わりません。保育料の計算では、これらの税額控除を差し引く前の額で見るためです。国の定め(子ども・子育て支援法施行令第4条・同施行規則第21条)は寄附金税額控除などを足し戻すとしており、住宅借入金等特別税額控除も足し戻すことは札幌市・仙台市の案内に書かれています。詳しくは保育料を決める「所得割額」の調べ方にまとめています。
堺市の案内も、9月以降の保育料は8月以前の保育料から変わる可能性がある、と書いています。
年度の途中で入園した場合
年度の途中で入園しても、使う住民税の年度は同じルールで決まります。
| 入園した月 | 入園した月の保育料 | 9月以降 |
|---|---|---|
| 4〜8月 | 前年度の住民税で決まる | 9月分から当年度の住民税で決め直す |
| 9〜3月 | 当年度の住民税で決まる | 翌年8月分まで同じ年度の住民税 |
月の途中で入園・退園した場合、その月の保育料は日割りになると、千葉市・仙台市・札幌市の案内に書かれています。さいたま市の保育料表は「各月初日の入所児童の属する世帯の階層区分」で金額を決めるとしています。
4月にも変わることがある
9月のほかに、4月にも保育料が変わることがあります。さいたま市の案内は、年度をまたいで入所している場合、入所児童やきょうだいの進級に伴い、4月から利用者負担額が変わる場合があるとしています。
引っ越してきた場合
個人の住民税は、その年の1月1日に住所のある市区町村がかけます(地方税法第294条・第318条)。そのため、年の途中で引っ越してきた人の住民税の情報は、前の住所地にあります。
市の案内には、次のように書かれています。
- 横浜市: 1月1日時点の居住地(市区町村)の税額をもとに決める
- さいたま市: その年の1月1日時点でさいたま市に住民登録のなかった人は、前の住所地の課税証明書を出す必要がある
保育料の金額表は市区町村ごとに違います。同じ所得でも、引っ越し先の市では保育料が変わることがあります。引っ越し先の保育料は、保育料の一覧から市を選んで確かめられます。
前の住所地が政令市かどうか
政令指定都市では、市町村民税の所得割の税率が8%です(名古屋市は「7.7%(市民税の減税後の税率)」)。保育料は6%相当(名古屋市は5.7%相当)で判定するため、相模原市の案内は、指定都市(相模原市、横浜市、川崎市など)が市民税額を決めている場合、市民税額等に6/8を掛けた額で決めるとしています。前の住所地によって扱いが変わることがあるので、引っ越し先の市に確かめてください。
税の修正申告をした場合・税額が変わった場合
修正申告や更正で住民税の額が変わると、保育料も変わることがあります。
- さいたま市: 市民税に修正・更正があった場合は、必ず区支援課に連絡する。利用者負担額が変わる場合がある
- 札幌市: 税の更正や修正申告で市民税所得割が変わった場合、保育料の決定などに影響することがあるので、速やかに区の保健センターに連絡する
- 仙台市: 市町村民税額に変更があった場合などは、年度の途中で保育料が変わることがある
さかのぼって変更するかどうかは、市によって案内が違います。千葉市の資料は、修正申告など住民税の情報に変わりがあった場合、9月(新しく入園した子は4月)にさかのぼって変更する、としています。ほかの市では、さかのぼる範囲が書かれていないこともあります。
申告をしていないと最高額になることも
住民税の申告をしておらず税額がわからない場合、さいたま市は保育料を最高額の区分(第11階層)で決めるとしています。川崎市の利用案内も、市民税が未申告の人は保育料が最高階層(最高額)となる場合があるとしています。
まとめ
- 0〜2歳児の保育料は、4〜8月は前年度、9〜3月は当年度の市町村民税の所得割額で決まる
- そのため、毎年9月に保育料が変わることがある
- 年度途中に入園しても同じルール。4〜8月に入園すると9月にもう一度決め直す
- 引っ越してきた人は、1月1日の住所地の税額を使う
- 修正申告などで税額が変わったら、市に連絡する。さかのぼる範囲は市によって違う
9月からの保育料は、新しい年度の住民税の通知書で所得割額を確かめ、住んでいる市の保育料表と照らし合わせると見当がつきます。