保育料を決める「所得割額」の調べ方

0〜2歳児の保育料を決める市町村民税の所得割額とは。通知書のどの欄を見るか、保護者2人分の合算、住宅ローン控除やふるさと納税を差し引かない扱い、政令市の6%換算を公式資料で解説します。

出典(元データ)

最終確認日: 2026年10月21日

認可保育所などの0〜2歳児クラスの保育料は、世帯の「市町村民税の所得割額」で決まります。年収や手取りではありません。この記事では、所得割額とは何か、通知書のどこを見ればよいか、保育料の計算で気をつける点を、国の法令と市の公式資料にもとづいてまとめます。

なお、3〜5歳児クラスの保育料(利用料)は、幼児教育・保育の無償化で無料です。無償化の期間は「満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間」です(こども家庭庁)。0〜2歳児クラスも、住民税非課税世帯は無料です。無料になる費用・ならない費用は保育の無償化で無料になるもの・ならないものにまとめています。

所得割額とは

保育料に使うのは、住民税のうち市町村民税の所得割の額です(子ども・子育て支援法施行令第4条)。住民税の通知書には県民税・府民税なども並んでいますが、使うのは市町村民税(東京23区は特別区民税)の所得割です。

所得割は「前年の所得」をもとに計算されます(地方税法第313条)。たとえば令和8年度(2026年度)の住民税は、2025年1〜12月の所得から計算されています。保育料に何年度の住民税を使うかは月によって違い、9月に切り替わります(保育料が毎年9月に変わる理由)。

国の定め(子ども・子育て支援法施行令第4条)では、0〜2歳児の保育料の上限を、世帯の所得割額を合わせた「市町村民税所得割合算額」で区分しています。区分の境目は48,600円未満、97,000円未満、169,000円未満、301,000円未満、397,000円未満などです。実際の保育料は、この上限の範囲で、世帯の所得の状況などを考えて各市町村が決めます(子ども・子育て支援法第27条第3項第2号)。区分の数や金額は市町村ごとに違います。

通知書のどこを見るか

所得割額は、毎年届く住民税の通知書で確かめられます。

働き方など見る書類
会社などから給与を受け取り、住民税が給与から引かれている給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書(勤務先を通じて受け取る)
自営業など、住民税を自分で納めている市民税・県民税納税及び税額決定通知書(市区町村から届く)
通知書が手元にない市民税・県民税 課税(所得)証明書

給与から引かれる人の通知書は、市町村長が5月31日までに勤務先を通じて出すことになっています(地方税法第321条の4)。書類の名前は静岡市の案内(市民税所得割額等の見方)の書き方で、市区町村によって少しずつ違います。

「税額控除前所得割額」の欄

横浜市の案内では、特別徴収税額通知書の「税額控除前所得割額」を確認するよう書かれています(横浜市「利用料の試算について」)。静岡市の案内も、市民税の「税額控除前所得割額」から調整控除額を差し引いた金額が保育料の算定の基になる、としています。

通知書の様式や欄の名前は、市区町村によって違うことがあります。欄が見つからないときは、住んでいる市区町村の保育担当の窓口で確かめてください。

保護者2人なら合算する

所得割額は、保護者1人ずつではなく世帯で合わせて見ます。国の定めは、保育の認定を受けた保護者と、同じ世帯に属する人の所得割額を「合算した額」で区分するとしています(子ども・子育て支援法施行令第4条)。

横浜市の案内でも、保護者それぞれで計算した金額を合算する手順になっています。

同居の祖父母などが入る場合

保護者以外の家族(同居の祖父母など)を算定に入れるかどうかは、市によって書き方が違います。公式資料にある例は次のとおりです。

市公式資料の書き方(要旨)
さいたま市保護者が非課税で、祖父母が同居している場合は、同居の祖父母の市民税も合算する
仙台市保護者が市町村民税非課税で、同居の祖父母等がその子を税法上の扶養親族にしている場合は、祖父母等の所得割額を合算する
横浜市保護者が非課税で、同居の扶養義務者(祖父母等)がいる場合は、算定対象に加えることがある
札幌市祖父母等と同居し、保護者の収入の合計額が一定の額に満たない場合は、祖父母等の税額を含める場合がある
堺市保護者と、祖父母などその他の扶養義務者(生計主宰者に限る)の課税額の合計で決める
神戸市子どもと同一世帯に属する保護者と、保護者以外で家計の主宰者となる方の市町村民税を合算する

同居の家族がいる世帯は、住んでいる市の案内を必ず確かめてください。

住宅ローン控除やふるさと納税は差し引かない

住民税には、計算した所得割から直接差し引く「税額控除」があります。住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)、ふるさと納税などの寄附金税額控除、配当控除、外国税額控除などです。

保育料の計算では、これらの税額控除を差し引く前の額を使います。根拠は国の定めと市の案内に分かれています。

国の定めでは、子ども・子育て支援法施行令第4条が「内閣府令で定める規定による控除をされるべき金額があるときは、当該金額を加算した額」とし、子ども・子育て支援法施行規則第21条が、その規定として地方税法第314条の7(寄附金税額控除)、第314条の8(外国税額控除)、第314条の9(配当割額又は株式等譲渡所得割額の控除)と、地方税法附則のいくつかの条文を挙げています。附則の各条文がどの控除にあたるかは、この記事では確かめていません。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)や配当控除も足し戻すことは、市の案内に書かれています。

  • 札幌市: 住宅借入金等特別税額控除、配当控除、寄附金税額控除、外国税額控除、配当割額・株式等譲渡所得割額控除で減税されている人は、これらを足し戻した(減税前の)所得割で保育料を決める
  • 仙台市: 合計に使う市町村民税の額は、税額控除(配当控除・住宅借入金等特別税額控除・寄附金税額控除等)の適用を受ける前の金額

横浜市は理由も書いています。同じ収入の世帯で、ふるさと納税で減税された世帯とそうでない世帯の利用料に差が出ないよう、税額控除は加えず、同じ収入の世帯の利用料が同じになるようにしている、という説明です。

つまり、ふるさと納税や住宅ローン控除で住民税が減っても、保育料は下がりません。

調整控除は差し引いた後の額

「調整控除」(地方税法第314条の6)は、施行規則第21条の一覧には入っていません。

市の案内でも、調整控除は差し引いた後の額を使うとしています。さいたま市は「住宅借入金等特別控除等の税額控除(調整控除・定額減税を除く)を控除する前の税額」、静岡市は「調整控除を除く」税額控除の前の金額、としています。

計算の例

説明のための仮の金額です。通知書の税額控除後の所得割額が70,000円で、住宅ローン控除20,000円と寄附金税額控除10,000円が差し引かれていたとします。保育料に使う額は、足し戻した100,000円です。

政令市は6%に直して判定する

政令指定都市(政令市)では、平成30年度から市町村民税の所得割の税率が6%から8%に変わりました。市民税と府民税を合わせた所得割の税率は、これまでどおり10%です(堺市)。

一方、保育料は変更前の6%の税率で計算します。札幌市は、他の市区町村との公平性を保つため、と説明しています。仙台市の案内では、政令市の所得割額は旧税率6%相当(名古屋市は5.7%)の税率で計算します。

そのため、政令市の通知書に書かれた所得割額を、保育料表の区分の金額(6%で計算した額)とそのまま比べることはできません。同じ所得でも、通知書の額のほうが大きく見えます。

ただし名古屋市は例外です。名古屋市の市民税の所得割の税率は「7.7%(市民税の減税後の税率)」で(名古屋市)、8%ではありません。次の6/8の直し方はそのまま当てはまらないので、名古屋市で課税されている人は市に確かめてください。

6%相当への直し方

8%で課税されている政令市の場合、札幌市は、政令市が出した書類の所得割に6/8を掛けると、保育料で使う所得割を計算できると案内しています。横浜市も、横浜市の税額は8%で計算されているため「÷8×6」で6%に計算し直す手順を示しています(実際の算定では、さらに調整控除額等を差し引くとしています)。

仮の金額で、政令市に住む保護者2人の税額控除前の所得割額が100,000円と60,000円の場合を考えます。合計160,000円に6/8を掛けると、6%相当の目安は120,000円です。

逆に、国の区分の境目である48,600円(6%)は、8%の額にすると64,800円にあたります(48,600円÷6×8)。新潟市の案内は、通知書には8%の額が載っているため、8%に換算した「市民税額(8%課税額)」で確認するよう書き、この階層は目安で実際とは異なる場合があるとしています。

相模原市の案内は、指定都市(相模原市、横浜市、川崎市など)が市民税額を決めている場合に、市民税額等に6/8を掛けた額で決めるとしています。引っ越してきた人は、税額を決めた市区町村(その年の1月1日の住所地)が政令市かどうかで扱いが変わることがあるので、市の窓口で確かめてください。

税の申告をしていないと

住民税の申告をしておらず税額がわからない場合、さいたま市は、保育料を最高額の区分(第11階層)で決めるとしています。川崎市の利用案内も、市民税が未申告の人は保育料が最高階層(最高額)となる場合があるので、住民税の申告をするよう書いています。

まとめ

  • 0〜2歳児の保育料は、市町村民税の所得割額で決まる。県民税の分は使わない
  • 保護者2人なら合算する。同居の祖父母などの扱いは市によって違う
  • 住宅ローン控除・ふるさと納税・配当控除などの税額控除は差し引く前の額で見る。調整控除は差し引いた後の額
  • 政令市の通知書の額は8%(名古屋市は7.7%)。保育料は6%相当(名古屋市は5.7%相当)で判定する

区分の境目は市ごとに違います。所得割額がわかったら、保育料の一覧から住んでいる市を選び、公式の保育料表と照らし合わせてください。

よくある質問

保育料は住民税のどの金額で決まりますか?
0〜2歳児クラスの保育料は、市町村民税(東京23区は特別区民税)の所得割の額で決まります。県民税・府民税の分は使いません。保護者2人分などを合算した額で区分します(子ども・子育て支援法施行令第4条)。
ふるさと納税や住宅ローン控除をすると保育料は下がりますか?
下がりません。国の定め(施行令第4条・施行規則第21条)では、寄附金税額控除などの税額控除を足し戻した(差し引く前の)額で判定します。住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)も足し戻すことは、札幌市・仙台市・横浜市などの案内に書かれています。
調整控除も足し戻しますか?
足し戻しません。調整控除は施行規則第21条の一覧に入っておらず、さいたま市・静岡市の案内も、調整控除は差し引いた後の額を使うとしています。
政令市に住んでいます。通知書の所得割額を保育料表とそのまま比べてよいですか?
そのままでは比べられません。政令市の所得割の税率は8%(名古屋市は減税後の7.7%)ですが、保育料は6%相当(名古屋市は5.7%相当)で判定します。8%の市では、札幌市は6/8を掛ける方法を、横浜市は÷8×6で計算し直す手順を案内しています。名古屋市はこの方法が当てはまらないので市に確かめてください。正確な区分は市が決めます。
同居の祖父母の税額も合算されますか?
市によって扱いが違います。たとえばさいたま市は、保護者が非課税で祖父母が同居している場合に祖父母の市民税も合算するとしています。住んでいる市の案内で確かめてください。

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